Airbnbのホストと揉めた2週間と100回以上に渡ったやりとり
ロシアワールドカップでは1ヶ月間の滞在のためにモスクワ市内の物件(シェアルーム)をAirbnb経由で借りました。
そこで起こったトラブルをきっかけにワールドカップ中の14日間に渡ってAirbnbのホストとカスタマーサポートとメール100通以上のをやりとりして、結果警察署に行く事になった時の事を語ってみたいと思います。
開幕1ヶ月前に急遽変更となった宿泊先
日本のワールドカップ出場が2017年8月31日に決まり、すぐに1ヶ月間借りられる物件をBooking.comやAirbnbで探し始めました。
まだ宿もそこまで不足しておらず、高騰もして無かったのでモスクワの郊外ですが駅からも徒歩圏内の格安の物件(シェアハウス)を借りる事に成功しました。
しかし2018年5月に事態が急変します。
ホストから届いたメッセージを読むと、
「貸せなくなったから予約キャンセルさせてくれ。他の同居人が汚してキッチンが使えなくなった」
とゴミ屋敷みたいなキッチンの写真も一緒に送られて来ました。
『いやいや、片付けさせろよ!
てか、今から1ヶ月借りられて値段も予算内に納まる物件とか見つかるのか?』
とかなり焦ったのですがここでホストから申し出が。
「別の物件があるからこっちを借りないか?」
提案された代替の物件の立地条件はモスクワ市内で駅から近くて便利そう。
しかし値段は40%増し。
流石に心の中で毒づきました。
『ワールドカップ直前に宿が高騰したのを見て、わざと本来より高い物件借りさせてようとしてるだろ?』
しかしそれでも予算内かつ相場よりは安い(そして立地が魅力的でした)事もあったため、その話を飲んでAirbnbで再度予約をし直しました。
無事に物件での生活始まる
モスクワ入りしてからは、ホストと合流して役所に出向いて滞在登録へ向かいました。書類のチェックが厳しく2、3回修正させられはしたものの1時間ほどで無事に手続きが終了した後に物件へ移動し、無事モスクワでの生活がスタートとなりました。
ここで簡単に借りたシェアハウスについて紹介します。部屋は全部で6つでトイレ、風呂、キッチンは共有です。
そして自分は下の図でいう右下の赤い部分のスペースです。自分の部屋は元々1つの部屋だったのをホストが2つに区切って貸し出しているようでした。なので隣もAirbnbで借りた人で同じくワールドカップ目当てに来ている他国のサポーターでメキシコ人、アメリカ人等と大会中は入れ替わっていました。
それ以外の部屋は現地のロシア人の方々が住んでいるようでした。
色々トラブルはあったけど無事に物件に辿り着いてよかった。この時はそう思っていました。しかし本当のトラブルはここからでした・・・。
陽気だけど様子のおかしい?ルームメイト
共有の場所では当然元から住んでいる住人と遭遇する事があります。
そこで隣の部屋のロシア人のAと会ったのですが、他の住人はこちらに話しかけて来る事も無かったのですが、彼だけはこちらにやたらと絡んできます。
しかも朝から晩までずっといて酔っ払っているかのような状態だったため悪い人ではないけど面倒臭そうというのが最初の印象でした。
しょっちゅう騒いで廊下などで会うたびに絡まれて段々面倒になってきたため、彼が廊下にいない時にトイレやシャワーを使うようになるのに時間はかかりませんでした。
そして事件は起こった
”ドンドンドン”
うたたねしていた時に急にドアが大きくノックするのが聞こえてうっかりドアの鍵を開けてしまいました。
すると190cm近いAがするりと部屋の中に入ってきて何やら喚き散らし始めました。
ロシア語なので何をいってるかわからないけどジェスチャーと断片的に聞き取れた単語からおそらく金を貸してくれ的な事を言っているようでした。(金を寄越せだったのではないと思いたい・・・)
『ここで払ったらこの後も同じ事が繰り返されるのではないか?』
そう思いAの言ってる事を理解出来ないふりをしていたのですが、Aは部屋から出て行ってくれる気配が全くありません。
4畳半くらいの狭い部屋に190cm近い大男に居座られるのはなかなかのプレッシャーです。
遂に根負けした私はカツアゲにあった際の対策用の、少額の現金だけ入れた財布を見せて、これだけしか本当にないんだよと日本円にして数百円程度ですがロシアルーブルを渡して難を逃れました。(Aはその後に同じ様に隣の部屋に突撃していた。)
腹立たしさと根負けした自分への情けなさで一杯でした。
ホストに報告
”ドンドンドン”
懸念していた事が起こったのか再びドアをノックする音が聞こえてきます。
流石無視をしつづけたのですが、段々と部屋にいる気配を出さない様に物音を立てない様で生活する様になりました。
流石にこれはちょっとな・・・と思いホストに起こった出来事を報告しました。
そしてホストから返事が来ました。
「彼は昔からナイフを突きつけて隣人からお金を脅し取るのを繰り返していて困っているんだよ。なので一緒に警察に被害届を出しに行ってくれないか?」
・・・・。Aがナイフを突き出したりする事がある恐怖より先に頭に浮かんだのは、
「そんな部屋貸してんじゃねえよ!!!」
という怒りでした(汗)
Airbnbのカスタマーサポートに相談
ナイフは流石にまずいよな・・・とここでAirbnbのカスタマーサポートに相談。私とホストの間に入って着地点を探してくれる事になりました。
基本的に借手の都合で残りの宿泊をキャンセルしても返金はされないそうなのですが、貸し手の方に問題ある場合などは例外的に返金になるケースもあるそうで、今回のケースもそれに当てはまるとの事。
カスタマーサポートに経緯やら状況の説明をして話し合いを重ねて2週間弱残っていた滞在をキャンセルしてもらう事に。
カスタマーの方は親身になって聞いてくださって対応はとても丁寧だったのですが、時差があったり英語より日本語出来る人の方が良いでしょうと途中で担当が変わって合計3人の方とやりとりをする事に(途中2人同時にやりとりするハメになる事も)。
カスタマーサポート間で情報共有がされておらず同じ説明をそれぞれの方にする事が何回も発生してなかなか話がすすまず、ワールドカップの試合観戦の移動と並行しつつやりとりをし続けるのは正直ちょっと大変でした。(ただしつこい様ですがそれぞれの方は親身に相談に乗ってくださいました。)
最終的に自分がモスクワに戻ったタイミングで被害届をホストと出してそのまま部屋を退去する事で話はまとまりました。
ルール違反を起こすホスト
カスタマーサポートとやりとりをしている際にAirbnbを通さずにホストから連絡が来た事がありました。
別の宿を用意するからAirbnb上でキャンセルしないでくれないかとのお願いでした。
もしかしたらこのままキャンセルになるとAirbnbのホストとしての評価が下がるとかがあるのかもしれません。
が、本来代金のやりとりをAirbnbを介さずはやらないようにとAirbnbの公式にもあるのとまたこのホストの物件に宿泊するのは嫌だったので断る事にしました。
人生初めての被害届を出しにモスクワの警察署へ
正直ホストに対する不信感はいっぱいだし、被害も少額なのでワールドカップを楽しむ事に集中をしたかったのですが、次に泊まる人がまた同じ目に会うのもな・・・と思いモスクワに戻ったタイミングで宿の荷物を回収してからホストと警察署に一緒に行きました。
タクシーに乗って連れて行かれたのは謎の建物。鉄格子を開けて中に入ると金属探知機があってそこを通り抜けて階段で2Fへ。
するとは謎のオフィスに通されました。映画でよくある様な警察署の様な部屋でした。
1人だけ警察官(?)が居て、ホストにいくつか質問をしてその返答をパソコンに打ち込んでいます。しかしロシア語なのでさっぱり分からない。
この時自分も書類に記入を求められたりしたかは失念しました・・・。
が、15分くらいした所で終わって、「あれ?これで終わり?」と表紙抜けしていたら、今度は赤の広場の近くに建物に連れて行かれました。
また金属探知機のあるゲートを通って建物の中に入ると今度はワールドカップ関連のトラブルの問い合わせの様な場所に着きました。ホストが受付のカウンターに行ったので待っていると、目的の場所はここでは無かった様でまた車で移動が始まりました。
そこで着いたのがルジニキ・スタジアムの近くのワールドカップ関連の建物でした。そこの入り口でホストが誰かを呼んだ様でした。
が、その待ち人がなかなか来ません。30分くらい立ったところでようやくホストが呼んだと思われる2人の男性が降りてきてホストと共に別の場所に歩き出したので着いていきます。
すると歩いてすぐの所に警察署の様な建物がありました(Otdel Politsii Po Obsluzhivaniyuと地図に書かれていたので恐らく警察署かと)。
ここでもセキュリティチェックがありそれを通り抜けると小さなロビーの様な場所に。
しばらく待っていたら警察官が4人来て、今通訳が向かっているからそれまで待っててくれと言われたので椅子に座って待ちます。
で、ようやく通訳らしき人が来たのでやっと日本語で説明出来る!と思いきや英語を喋るロシア人の警察官でした。
だったらさっきの英語喋った人で良かったのでは・・・と思ったものの彼の説明に耳を傾けます。
彼も私も英語が堪能でなかったので何度かお互い聞き直したりしつつ、彼が「これから用意する書類(恐らく被害届)に英語で記入して欲しい、それを私がロシア語に直すので」と言ってるのが分かったので書類に記入します。
記入用紙の項目が読めないので通訳の人に何を書くのか聞きつつなんとか埋めました。
自分が書いた文書をロシア語に直してくれているのを待っている間に刑事っぽい人が来て何やら質問をしてきたので通訳の人が訳してくれます。
通訳「現場に行く時に立ち会ってくれるか?」
私『Aとまた部屋で顔を合わせるって事?』
通訳「そういう事になるね。」
私『それは嫌だ、怖いしもう会いたくない』
通訳「我々も一緒だから大丈夫」
とは言われたものの、この日被害届を出して終わりのつもりだったのと試合観戦の予定もあるのでこれ以上は拘束されたくなかったので断りました。
するとその返答を聞いてからと私の被害届を読んでから何やら刑事達とホストがトーンダウンした様に感じました。で何やら話し込んでいますがロシア語なので分からない。
『NOと答えたのが不味かった?もしくは被害額が少なすぎたとか?』
何か自分はまずい事をしたんだろうかと心配したものの、被害届を受理した証であるらしいТалон-уведомлениеという紙をもらいました。
ホストと大喧嘩
警察署を出た頃には夕方となっていました。さてこれで解散だろうか?と思っていたらホストがタクシーを呼んだので一緒に乗り込みました。次はどこへ向かうのだろうかと思ったら借りていた宿の前に車が停車しました。私を降ろすとホストはそのまま帰ってしまいました。
「???」
これはどういう事だ?荷物は全部持ち出したが鍵をそういえば返していない・・・。
とりあえず部屋に鍵を置いて立ち去るよとホストにメッセージを送ります。
するとホストからそのままそこに泊まるんじゃないの?との返事が。
むむむ、自分の理解と何やら食い違ってるな・・・と思っていたらホストから
「いやだって、君もそこで宿泊して大丈夫か警察官に聞いてたよね」
とのメッセージが。いやいやそんな事は聞いてないぞと思いつつ、Airbnbのカスタマーサポートを通してまとまっていた認識でしたが改めて今日退去する旨とその場合の返金額を伝えました。
すると今度は返金で揉めはじめます。ホストの言い分は警察署に行った今日の分まで払うべきだ。対して自分は今日退去したので今日分はふくまれないと事前に話しはまとまったというスタンスです。
すると「嘘つき野郎」「お前の部屋だけでトラブルがあるのは何故だ?」「隣のアメリカ人の泊まった部屋では何も起きてないぞ」とのメッセージがホストから来ました。
『いやいや、隣の奴の部屋にもAは押しかけてたから。なんなら彼に聞いてみなよ。』
とこちらも応戦したのですが、お互い母国語でない英語でやりとりして恐らく誤解や行き違いが発生していると思われる事。これ以上ストレスを抱えた続ける事は自分としてももう限界に感じていた事。
これらを考えていったん冷静になって熱くなった事をホストに謝って話を決着させる方向に。
とまあ冷静ぶってますが単に1日分の返金に対して揉め続けるよりこの面倒事から早く開放されてワールドカップを楽しむ事が大事だと思ったのが最大の理由でした(汗)
行き違いを白黒はっきりさせてる間にワールドカップはドンドン進んで行ってしまうので・・・。
その後カスタマーサポートにホストとの話を報告して、返金の話をまとめてもらい2週間に渡る、そして100通以上のやりとりが終わりトラブルにようやく決着が着きました。
本当ほとほと疲れました…。
もっとホストと事前に認識合わせておけば防げた事もあったようにも思いますが、ひとまずその日は深く深く安堵しました。
追記:
日本大使館が日本語を併記した被害届の用紙を用意してくれていたのでリンク貼っておきます
https://www.ru.emb-japan.go.jp/japan/ANZEN/StatementOfOffense.html
またその他のトラブルの対応や申請についても大使館がドキュメントにまとめているのでこちらを参考にされるとよいかもしれません。
https://www.ru.emb-japan.go.jp/APP/Anzen/モスクワ旅行安全マニュアル.pdf