海外にいく時は危険なエリアにはわざわざ行かないようにしているのですが、今回は例外的にアメリカで最も治安の良くない都市の1つと言われるデトロイトに行ってきました。
デトロイトはアメリカ北部に位置しカナダとの国境の近くにある街です。かつては自動車産業で栄えていたそうですが、その衰退と共に人口が減り(180万人へ60万人激減) 、税収が減り、白人は郊外へ流出し、黒人貧困層だけが残り治安が悪化するという悪循環を繰り返したそうです。
アメリカの治安の悪い都市のランキングを見るとコンスタントに上位にランクインしたりもしていますが、近年は回復もしてきていてパブリックアートでの復興を目指したり、家賃が安い事もあってスタートアップ企業の拠点になったりもしているそうです。
デトロイトのバスターミナルに到着
バスでデトロイトに向かいバスターミナルに着いたのは朝6時過ぎ。
バスターミナルはダウンタウンから少し離れた所にあったので、とりあえず中心街へ向かいます。しかしめちゃくちゃ寒い・・・。(この日は気温約マイナス20度)。そして人が全くいません。
ダウンタウンに着く頃には明るくなって来ましたが時折ホームレスの人も黒人の方ばかりで白人の姿はここまで見かけません。
寒すぎたのと朝飯を食べたかったので朝から開いている店を探すもなかなか見つからなかったのですが、唯一スタバがやっていたので突入。胃袋に熱いコーヒーを流し込んで暖まってから国境沿いに向けて出発。
カナダとの国境沿いへ
国境に向かって歩くも相変わらず人を見かけません。時折衣服が落ちていたりちょっと不気味です。そしてやたらとアメリカ国旗を見かけます。
国境沿いに到着。川の反対側にカナダが見えます。
徒歩はダメらしいのですが、車で地下トンネルを通って国境を渡れるようでした。
国境沿いを歩いていたらGM本社のビルを発見。早朝にも関わらず見学出来るようだったので入ってみたらようやく沢山の人を見る事に。社会見学に来てる学生の団体や隣接しているホテルに宿泊してる人のようでしたが、外とは逆に白人ばかりでした。世界がくっきりと断絶されているかのようでした。
パブリックアートを目指して
GMを出た後はダウンタウンから離れてパプリックアートを観に散策へ。
ダウンタウンから少し離れた所で早速パブリックアートを見かけるように。しかしなんだかおどろおどろしい。
表の道路はそこまででもないですが路地に入ると急に窓ガラスが割れていたりと雰囲気はよくありません。
独特な雰囲気の中に怖い感じの絵もあれば、お洒落な絵もあったりと、ある意味魅力的な場所ではありますが基本的には近寄りたくない雰囲気でした。たまに人をポツポツと見かけるも白人の方は一切見かける事はなくなりました。ダウンタウンを出た後は基本的に見なかった気がします。
ここからはハイデルバーグプロジェクトを目指しました。このプロジェクトは地元のアーティストが荒廃していくデトロイトとハイデルバーグストリートというエリアをアートの力で変えようという事で始められたものだそうで、色々な作品がストリートに配置されているとか。
という事でハイデルバーグプロジェクトを目指して歩きますが、週末の午前中とはいえその途中もやはり人がいない・・・。
お店も鉄格子が付いてるのが多かったです。
途中にあったイースタン・マーケット。この日は週末だからか残念ながらクローズしていました。
ハイデルバーグストリートに行く途中もパブリックアートが沢山観られました。
あんまりWelcom感のない"Welcom To Detoroit"の幕。ハイデルバーグプロジェクトに近づいて来たら意外と普通な街並みがあってすれ違った叔母さんもハローと挨拶してくれたりしました。
しかし更にハイデルバーグプロジェクトのあるエリアに近づくと廃屋の姿を見かけるように。
正直この辺から周囲の雰囲気に緊張して手汗がかなり出てました。
ハイデルバーグプロジェクトに到着
緊張しつつもようやくハイデルバーグプロジェクトに到着。謎の犬小屋の姿が見えます。
遠目に可愛い感じもしたのですが近づいてみると不気味・・・。
謎の洗濯機と時計。
埋められた車。ライトは目になっていました。
謎の大量の靴。
ハイデルバーグプロジェクトの看板。
カラフルではあるので空が青々としてればまた印象は変わるのかも?とは思ったものの、不気味さの方が上回っていた様に思います。
ハイデルバーグプロジェクトの次は廃墟を見に行くことに。ただ歩きっぱなしで疲れたのと寒かったのもありどこかで休憩が出来ないか探すもののあるのは酒屋と潰れたガソリンスタンドくらい。どうしたものかと思っていたらケンタッキーが交差点の近くに見えたので休憩を取りに入りました。
そのケンタッキーですが周囲の雰囲気と比較して外観が綺麗なので浮いてる感じです。そしてまず最初に目に飛び込むのがカウンターを覆う防弾ガラスです。治安がやはりよろしくないのでしょうか・・・。
ガラス越しなのでなかなか注文の声が届きません(汗) 注文したものは防弾ガラスの脇の小さな回転扉から受け取る事が出来ました。
パッカード自動車工場の廃墟へ
次に目指すのは廃墟マニアがよく訪れるらしいパッカード自動車工場。
工場に行く途中の建物も既に廃墟ばかりでした。
しばらくしてパッカード自動車工場に到着。崩れかけてる建物も見えます。
入り口と思われる所にフェンスと共に何やら警告があったので読んでみると許可なしには立ち入れなくなっているようでした。
丁度そこに車が横付けして止まったのでビックリしていると警備の人でした。外から写真を撮る分には良いけど、建物の中には絶対に入らないようにとの事。
後から調べてみると廃墟マニアの人が世界中から来てトラブルが起きたりしているそうで、そのために入れなくなったのかもしれません。
警備の人が中に入るんじゃないかと疑っているのか車でずっと付いて来たので逆にこれは安全だった様な気もします。窓越しから撮るのもオッケーだとの事で中には入れないもののかなり近くから写真を撮る事が出来ました。
数年前は中にも入れたようで、以下のブログのようになっているそうです。
周囲からだけでしたがひと通り見る事が出来たのと緊張感で疲れたのでダウンタウンに戻る事に。
ポツポツと距離をあけてボロボロの家があるのですが、万が一連れ込まれでもしたら声の届く所に人もいなそうだしやばいだろうな等と想像しつつひたすら歩きます。
すると交差点の柱にぬいぐるみが沢山飾られていました。なんだろうと思い近づいてみるとプレートがあったので読んでみるとそこで撃たれて亡くなった警察官に向けたもので花も飾られていました。ぞっとする瞬間でした。
再びダウンタウンへ
ミッドタウンと言われるエリアをひたすらまっすぐ歩いてダウンタウンに戻って来ました。ミッドタウン辺りから街の雰囲気は一変して廃墟は見かけず街も綺麗でした。
お昼も過ぎていたのと繁華街だからか朝とは違ってようやくそれなりの数の人を外でも目にします。(ただ白人の割合が凄く多かったです)
MLBのデトロイト・タイガースの本拠地であるコメリカ・パーク。
ダウンタウンの主要なポイントで下車出来るピープルムーバーというモノレールがあったので乗車してみる事に。駅のゲートの前にトークンというコインのようなものが売ってるのでそれを購入してゲートの投入口に入れれば駅に入れます。1トークン=0.75ドルで、自動販売機だと紙幣しか使えませんでした。
Congress & Woodward駅で下車し、近くにあるThe Guardian Buildingにいってみました。
タイルのモザイクが美しかったのですが、デザインがあまり見た事ない感じだなと思って後で調べたらアールデコ調というものらしいです。
ミシガン・セントラル駅へ行くためにローカルのバスに
最後の観光として、ミシガン・セントラル駅に行く事にしたのですが歩いて行くにはちょっと遠かったためMichigan&Cuss(Google マップ)というローカルのバスセンターへ。
地元の路線バスが発着する場所の様ですが、バスを待っている人の中に白人はおらず自分以外は全員黒人の方でした。アメリカだとバスや電車はお金の無い人がに乗る物とか言う話をよく聞きますが、本当なのかもなぁと思った瞬間でした。
ただみんなフレンドリーでバスを待っている間はどこから来たのか、寒いけど大丈夫かなどと話しかけてくれたり、バスに乗るときは最初に乗せてくれようとしてくれました。
そしてビックリしたのがバスの運賃箱が壊れていたらしく運転手の方が「今日は無料よ!」と言って全員そのまま無料で乗せしまった事。財政破綻したのに大丈夫何だろうか。
10分ほど乗ってバスを下車し、少し歩いたら目当てのミシガン・セントラル駅に到着しました。1913年開業の駅で現在は閉鎖され使われていないのですが、トランスフォーマーなどの映画のロケに使われたりしているそうです。
しかし中に入る事も出来ないのですぐにダウンタウンに戻る事に。
バスで駅に向かう途中、レストランが続くエリアを見たのでそこに戻って夕飯を食べてデトロイト観光を終えました。
滞在はせいぜい半日で、自分が目にしたものはほんの一部で、時間帯、エリア、季節によってはまた違った様に見えるものも恐らくあるのかなと思うのですが、思っていた以上に肌の色で住む生活圏や治安が分かれている様に感じました。
最後に今回は徒歩が中心でしたが、ダウンタウンの外の廃墟のあるエリアに行くときは安全面から車で移動した方が良いかと思います。今回は寒い時期かつ早朝に観光した事もあってか問題ありませんでしたし、実際に危ない目に早々に会うわけではないのかもしれません。
ただその可能性は日本やアメリカの他の都市よりは高いのは数字からも明らかなので、しつこい様ですが車での移動をお勧めします。